いつもの日記

なんとなく書きたくなって

塩素の香り

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小学生だったわたしの夏休みの大部分は「水泳」でできてる。

おかげで、夏を強烈に思い出す香りは「塩素の香り」

3歳から始めたスイミングスクールと父親譲りの大きな身体のおかげで、わたしは泳ぐのが速かった。体育での水泳の記録が良いので、毎年学校の代表選手の一人に選ばれて、夏休みは当たり前のように毎朝学校のプールで3時間くらい泳ぎ通し、いつも日に焼けて真っ黒で、競泳水着を脱いでも水着を着てるかのようにくっきりハッキリ水着のアトが身体に焼き付いていた。

そんな私の当時を振り返ると、いい記録を残せる競技会自体も自分の貧弱な自尊心を満たしてくれるので楽しみだったわけだけど、実は5年生くらいの時から、もう一つ楽しみがあった。

隣の小学校の代表選手に気になる人がいたのだ。

彼と一番初めに出会ったのはうちの近所の書道教室。まだ小学校2年生の時。

それから少しして私はその書道教室をやめ、5年生になるまで彼とは出会う事もなかったけど、夏のある日、大会で背が大きく伸びて日に焼けた褐色の肌がよく似合う彼を見かけてしまった。

もう、なんかちょっといいなと気づいた時には、自然と彼を目で追っていた。

それからというもの、中学校で同じ学校に行くようになり、自分の恋かもしれない気持ちが恥ずかしくて、いつの間にか彼をライバル視し、絶対負けないから、と彼を気にかけてるのはライバルだと思ってるからだと自分に言い聞かせて、勉強、運動、なにかにつけ彼の視覚に入る行為に全力を尽くした。

 

という事を思い出しながら、選挙投票日には合法的に入る事を許される近所の小学校で、投票を終えてきました。

投票を終えて出て行く出入り口の脇に、懐かしい青い色でゆらゆらと水面をゆらす小さなプール。

ふっと香った塩素の香りで、特に叶いもしなかった、想いが宙ぶらりんだった、多分私の片思いだった恋かもしれない何かを思い出して、あの頃はなんも見えてなくて目の前の事にまっすぐだったな、って懐かしい気持ちに襲われて、センチメンタルな家路についたのでした。

 

この話はフィクションかもしれないし、もしかしたら、ノンフィクションかもしれない。